フルローンによる不動産購入の是非

私の著書の読者からフルローンで不動産を購入することの是非についてよく質問を受けることがあります。著書ではそのことは一般論としてお勧めしていません。 その理由の一例として、キャッシュフローがマイナスになった時の答をお持ちでない方が多いからです。逆に言いますとその答をお持ちの方は購入してもいいのです。フルローンで不動産を取得する方はたくさんおられるわけですから、取得自体を否定はしません。でもこの手法で取得し、ローンの返済が終わった人はまだ極少数ではないでしょうか?今はいいということは言えますが、ローンのある限り本当に成功したと結論付けるにはまだまだ早いと思いますよ。現在では不動産価額も都心部におきまして上昇が顕著です。数年前から不動産投資をされている方には、このことはラッキーであったと思います。ラッキーかラッキーでないかは後になってわかることで、私も2~3年前にその上昇予測を勉強会等でお話していましたが、これほど急激に上がるとは正直思ってはいませんでした。予測を的中させることはプロでもそんなに簡単ではありません。今後の皆さんの関心は、「いつまでこの上昇は続くのか」ということでしょうか?今の時点ではいつとは申し上げにくいのですが、先のことを前置きしてあえて言うなら、私は1年以内にその上昇も止まり、反対に来年か再来年には再び下落し調整局面があるのではないかと思っています。その根拠もあります。それはやはり都心部から始まります。すでに一部の不動産取引の中には辻褄の合わない投機的な価額のつり上げがなされ、それを取得した不動産業者は転売に困っているという話も聞きます。こういう状況では、よほど不動産に対する目が肥えていませんと、あとになって大きな痛手を被ることにもなりかねません。慣れていない方は不動産に対する勉強が大事であります。それも知識だけでなく、自分自身で考え、物件をよく見、小さな物件でも自分で持って体験することが大事なことと思います。失敗は小さいほうがいいのです。大きな失敗をいきなりしますと立ち直れなくなりえます。その経験の上で、フルローンによる物件取得を行ってみてはいかがでしょうか?不動産で成功を夢見るのは大いに結構ですが、成功している人は時代の変化に対する対応もすばやく、不足に事態に対する「持ち駒」のある方です。それがない場合に一番強いのは、失うものがないという方でしょうか。銀行が融資をしてくれるなら、不動産で財を築くということにチャレンジするのも一つの方法ではあります。銀行が融資をするということは、物件については問題なしという判断をしているのです。あとはどのように維持していくかということです。ここでの対応が失敗と成功を決するのです。失敗したくないと思うのでしたら、自らの不足を補うために、優秀で信頼できる不動産のプロに、いつでもアドバイスを受けられる状況に身を置くことをお勧めいたします。それでも私は自制心の強い人でないと、成功にはおぼつかないという気がしています。  和合 実