(読売新聞朝刊H20.1.30の一面に記事掲載。) マンション譲渡で発生した損失を他の所得と損益通算をすることを禁止する法改正があり、2004年4月に施行されましたが、同年1月に遡ってからの適用とされていました。これを知らずに同年3月に譲渡損を出して売却した人が、 確定申告時にそのことを知らされました。この人には売却、買い替えに伴う借入金がなかったため、特例措置の対象とならなかったのですが、提訴され、福岡地裁で「法改正の要旨が報道されたのは適用のわずか2週間前で、国民に周知されていなかった。」と指摘し、租税法規不遡及の原則に反し、違憲無効の判決を言い渡した。
私も著書でこのことには触れていましたので関心がありました。この法改正がいきなりであったことに疑問に思っていましたので、こういう判決がなされ嬉しく思います。なぜ頭のいい役人が不遡及の原則を侵したのかわかりませんでした。その経緯もこの裁判でわかりました。先にこの改正内容を知らせると売り物件が増え、地価が下がると考えていたようです。でもこの考え方には納得しきれませんね。控訴のことには触れていませんでしたが、これで終結すべきかと思います。私はこの記事を読んで、法の番人である裁判官の違憲判決に、しびれる思いがしましたよ。和合実