先日、私が収益不動産の仕事をしていることを知って、相談にのってほしいという依頼が、友人を通じてありました。この人(Fさん)は60代後半で、現在複数の不動産から上がる収入のみで生活をしておられます。相談内容は、長年不動産管理を任せてきた不動産屋さんが、信じられなくなったということでした。理由をお聞きしますと、収入は年々減っているのに、 管理料や修繕費の支払は反対に増え続けているとのことです。どのくらいの割合で支払われているのか調べますと、賃料の約20%以上が管理料に類するものとなっていました。修繕費は別にあり、その金額は割高となっています。
このようなケースの共通する原因は、「任せきり」にあると思われます。Fさんは自分の所有不動産を年に1~2度見に行かれるだけで、ほとんど何もされていません。これではそうなるのも頷けます。管理をしている不動産屋さんの請求に拒否されたこともなく、言われるがままであったことが原因かと推察できます。
私に管理を任せたいとのことですが、それは受けませんでした。私がエリアの事情に精通していないことや、Fさんを十分満足させるだけの管理をする時間的余裕がないからです。断りきれないこともあるかもしれませんが、よほど親しい人か、エリアのことをわかっている場合でないと、基本的に私は管理を受けません。その場合でも、店舗のみでマンションは受けないことにしています。
但し、改善のお手伝いはできるかもしれません。Fさんもこのままではジリ貧です。私のアドバイスは、「まず、3月末までに賃貸専門の仲介会社に依頼して満室にすることを考え、そのあと不動産の組換えや、借入金の借換え、管理会社の変更、不動産承継等をこの機会にじっくり検討し、年額どれだけの可処分所得があれば、満足できるのかを決め、安定的な不動産収入が見込めるようになれば、不要な不動産は手放す」でした。そして、「このことを実践しようと思われたら私に相談下さい」とお伝えしました。
相続で不動産を受継ぎ、漫然と所有しているだけのFさんには私のような発想はありませんでしたが、「考えてみる」と言われていました。不動産を手放すということを考えたことのないFさんには、荷の重い提案であったかも知れません。これは私ならそうするということです。そのことをお伝えしてから約10日になります。ここで決断できなければ、おそらくこれからもFさんが望む変化は期待できないと思います。
大きなチャンスは何度も来ないものですが、来たときに掴みに行くかどうかで人生は変わっていくのです。変化を望みながら、変化できないのは、実はその人に意識の呪縛があるからです。自らは変わらず、何も失わず、傷つかず、いいとこ取りをして改善することを願っても、それで思うようにいったという話を私は聞いたことがありません。皆さんはどう感じられましたか? 和合実