土地の有効利用を考えておられる地主さんがいます。年齢は60代、相続した土地を次の代に移すため、借金をしてマンション建築を考えておられます。収支を
見せていただくと、土地はゼロで計算して、9%いくかいかないかといったところです。
私ならこの土地では絶対賃貸マンションを建てません。立地条件が良くないのです。ですから、この土地を売却して、収益不動産への買換えをお勧めしましたが、売るわけにはいかないということでした。
収益物件をいくつか紹介しましたが、自分の土地で建てたい気持ちは変らないようでした。客観的に見て、買換えの方がずっといいと思うのですが、この地主さんには意識の呪縛があって、わかっていても自分の土地を手放す決断ができないのです。
紹介者の方には申し訳ないのですが、私はこれ以上関わりたくない旨を伝えました。価値観の問題はそう簡単には解決しないからです。
買換えを積極的にされたある地主さんは、こう言っていました。「先祖伝来の土地を手放しても、また別のところで買うのですから、買ったものを子孫につなぎ、先祖伝来とすればいいのです。」と。
まさにそのとおりです。時代が変れば、所有する物件が変わってもいいのです。固執することで失敗を招くことにもなりえます。柔軟な発想が失敗を防ぐ手段にもなるといことですね。 和合実