見切り千両

 平成2年のバブル崩壊後の不動産価額は、以降15年に渡って下がり続けました。そのときの教訓は、「見切り千両」です。売る側から言えば、早く決断していたら、 

傷口は浅くて済んだのですが、それができなかったのです。

 今回も同じようなことが起きています。経営者の自己保身のため、迅速な判断ができないのではないかと思われます。

 昨年来の金融引き締めで、それまでの不動産の需給バランスが崩れ、値下がりすることが予測できたであろうに、拡大路線に走ったファンドやデベロッパーは機敏な対応ができず、破綻したり、あるいは厳しい状況に追い込まれています。

 先の教訓が生かされていないのです。決断には、時に大きな苦痛が伴うものです。それができなければ、経営者としての資質にかけることになります。

 経済環境の悪いときこそ、その資質が問われるのです。生き残りをかけて決断すべきときが来ているのに、無策なままに時間を経過させますと、容赦なく大きな苦痛をもたらします。

 同じ苦しむなら、展望の開ける苦しみの方がいいはずです。展望の描けない経営者の下で働く社員は気の毒です。失業者が増えることにならないような舵取りをしてほしいと願います。和合実